さいたま赤十字病院
ロボット支援下膵切除術

膵臓は胃の裏に位置し、お腹の中でも深いところにあります。また、非常に重要な臓器・血管に隣接しています。長さ20cm、厚さ2~3cm程度の細長い臓器であり、消化液である膵液の他、インスリンやグルカゴンなど血糖をコントロールするホルモンを分泌しています。

膵臓の手術は多くの消化器外科手術の中でも特に高難度であり専門性が高いことが知られています。当院は学会に診療実績が認められ、膵臓や胆道、肝臓の高難度手術のhigh volume centerとして認定されています(肝胆膵外科高度技能専門医修練施設A)。

ロボット支援下膵切除術は2020年4月に保険適応となっていますが、厳しい施設基準があり、施行可能な施設は全国でも限られています。当院では2021年5月から施行可能となりました。

適応疾患

※ご自身の病状がロボット手術の適応となるかは主治医にご相談ください。

ロボット支援下膵切除術の特徴

小さな手術創

開腹手術の創

ロボット支援手術の創

通常の開腹手術(お腹を大きく切って開ける手術)では図のようにお腹の真ん中に大きな創が残ることになりますが、ロボット支援下手術の場合ははるかに小さな創となるため見た目も目立たなくなり、術後の回復も早くなります。

高精細カメラによる術中映像

高精細カメラ術中映像

高精細3Dカメラを臓器に近接させることで得られる画像は非常に細かな構造まで鮮明に立体的にみることができます。

繊細な鉗子操作による正確な手術

通常の腹腔鏡手術では術者の手の震えをゼロにすることはできませんでしたが、ロボット手術ではそれを無くすことが可能となっています。また、多関節機能により従来の腹腔鏡手術の鉗子では出来なかった操作が高いクオリティで可能となっています。

従来の腹腔鏡手術の鉗子

従来の腹腔鏡手術の鉗子

鉗子は細長く、挿入のための創はロボット手術同様に小さいですが、お腹の中での動きは限られています。

ロボット手術の鉗子

ロボット手術の鉗子

お腹の中で前後左右回転など、実際の手の動きと同様にスムーズに動かすことができます。

ロボット支援下膵切除術で可能となること

ロボット支援下手術は低侵襲性と正確性を兼ねた手術方法であり、術後合併症率の低減、入院期間の短縮などが期待されています。