さいたま赤十字病院

産婦人科での
ロボット支援下手術

産婦人科領域において2018年4月より早期子宮体癌及び良性子宮疾患に対するロボット支援下子宮全摘術が保険適用となりました。これにより、保険診療内で最新の技術を用いて繊細かつ精密に子宮摘出を行うことが可能となりました。

当科においても2021年2月からダビンチXiを用いたロボット支援下子宮全摘術を開始し、当術式はさいたま市で初めて保険診療の適応基準を満たしました。現在、その需要は伸びており、症例数は順調に増加しております。

当科では、日本産科婦人科内視鏡技術認定医かつ日本婦人科腫瘍学会瘍専門医を持つ日本ロボット外科学会専門医が中心となってロボット支援下手術を実施しています。

当科で行っているロボット手術

①ロボット支援下子宮全摘術

対象疾患
子宮筋腫
子宮腺筋症
子宮頚部高度異形成 など

上記に示すような良性子宮疾患が中心となっております。卵巣を摘出するかは年齢や併存疾患に応じて決めさせて頂きます。手術時間は概ね2時間半から3時間程度となっております。

②ロボット支援下仙骨腟固定術

高齢女性に比較的多い骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤)に対して近年増加しつつある術式です。

子宮を部分的に摘出し、残った子宮に対してメッシュを縫い込み、仙骨に固定する手術で、再発率が低いことが利点であると言われています。当科でも2021年8月から導入しており、症例数は着実に増加しております。手術時間は概ね2時間半から3時間程度となっております。

③ロボット支援下子宮悪性腫瘍手術(子宮体癌)

子宮体癌に対して行われる術式で、当科では2022年1月から導入し、2022年12月から保険請求が可能な術式となっております。ロボット手術の特性である精細な画像や精密な手術操作により、従来のアプローチよりも正確に子宮が摘出できると考えております。当科での手術時間は概ね3時間から3時間半程度(リンパ節郭清を伴わない場合)となっております。

適応
術前に早期子宮体癌と診断された方で、巨大な子宮ではないこと
ロボット手術の利点

ダビンチXiシステムの概要などは前項を参照して下さい。

左図のように【A】開腹手術に比べ【B】ロボット支援下手術(腹腔鏡手術を含む)の手術創は、明らかに小さく、また術後の疼痛も少ないことから、患者さんの生活の質の向上や社会復帰も早期に可能(早い人では術後1週間程度で復職)となっており、非常に好評を得ております。

また、ダビンチXiシステムの利点が十分生かされることにより、従来の開腹手術はもとより、腹腔鏡手術よりも繊細かつ精密な手術が可能となっております。常に安定した姿勢で手術が可能であることから、術者自身の手術への負担軽減にも繋がっており、結果的に患者さんに、より安全な手術が提供できると我々は考えております。

急激な大量出血、腹腔内の癒着が著しい場合、他臓器損傷に対する修復が必要な場合はロボット支援下手術での対応が困難な場合があります。この際は患者さんの安全を第一に考え、開腹手術に速やかに切り替えることにしております。

当科でのロボット手術の実際の流れ

手術前日

入院して頂きます。

手術当日

麻酔は全身麻酔で行い、手術時間は概ね2~3時間を予定しております。

※ただし、子宮の大きさ、癒着の程度によってこれより長時間になることはあります。

 

術後1~2日目

食事や歩行を開始し、日常生活に早めに慣れていただきます。

術後3日目

退院診察を行います。

術後4日目

退院となります。※退院に自信のない方は入院を数日間延長することも可能です。

費用について

ロボット支援下手術は高度な技術を有するものですが、産婦人科領域において手術費用は従来の腹腔鏡手術と同額です(子宮体癌も同様)。

※この他に入院費などが加算されます。詳細は当院の医事課へご相談下さい。

手術適応について

ロボット支援下手術を行うかは外来受診時に患者さんとご相談の上、決定させて頂きます。決定の際には必ず、当科内で日本産科婦人科内視鏡技術認定医を交えた検討を行います。子宮の大きさ、子宮筋腫の局在によっては腹腔鏡下子宮全摘術や開腹手術をお勧めする場合がございますので、予めご了承ください。

 

子宮筋腫、子宮腺筋症があり、過多月経や月経困難でお困りの方は、お気軽に当科を受診して下さい。