乳児血管腫は乳児の数%に見られ、乳児期に最も発生頻度の高い良性腫瘍です。ほとんどの症例は生後1〜3ヶ月に急速に増大することがありますが、約1歳〜1.5歳を過ぎますと自然に消えていきます。
乳児血管腫は 1)表在型 2)深在型 3)混合型 に大別されます。乳児血管腫の病変の大きさや解剖学的部位によっては問題となる症例が存在します。
病変の大きさや発症部位によっては重大な後遺症を残す乳児血管腫も少なからず存在します。
隆起、萎縮、瘢痕化など
潰瘍化のリスクがあり、潰瘍化すると出血や2次感染を引き起こすこがある。潰瘍化を放っておくとほぼ瘢痕になる。
前腕と同様に潰瘍形成のリスクあり。
無治療では永久的な脱毛をきたす可能性あり。
5つ以上ある乳児血管腫は内臓の肝血管腫に関連する可能性あり。
(米国小児科学会「乳児血管腫の管理のための診療ガイドライン」2019より引用改変)
我が国では乳児血管腫の治療はほぼ色素レーザーによる治療のみでありましたが、近年プロプラノロールの内服が承認され、レーザー治療やプロプラノール内服またはその併用治療が行われるようになりました。リスクの高い乳児血管腫においては、最良の転帰を得るための適切な治療時期があります。
当院では、プロプラノール内服療法は小児科との併診で1週間入院での治療を行なっています。その後皮膚科・小児科外来で定期的な診療と血管腫によっては可変式ロングパルス色素レーザーの照射を併用したハイブリッド療法を行っていきます。頭皮に生じた2cm以上の血管腫へは積極的に可変式ロングパルス色素レーザーの照射を行い、永久的な脱毛症を防いでいます。またレーザー治療は乳児血管腫が退縮した後、2〜7歳ごろに残った皮膚の変化(毛細血管の拡張ら)にも有用です。当院では保険治療を行なっています。
生下時からある赤い平坦な「あざ」です。生まれつきの毛細血管の異常なので、厳密には血管腫ではなく、奇形に分類されます。毛細血管は動脈と静脈の間にあり、皮膚に広がる細くて薄い管ですが、それらが異常に増えて集まった状態です。自然に消えることはなく、ゆっくり色が濃くなったり大きくなったりすることがあります。大人になると隆起することがあり、顔面では醜形をきたし目立ちます。(日本形成外科学会のHPより引用改変)
乳児血管腫の治療と同様に最新の可変式ロングパルス色素レーザーを用いて治療を行なっていきます。いずれも保険治療にて行なっています。