さいたま赤十字病院

泌尿器科における ロボット支援手術

日本では、泌尿器科でいち早く2012年にロボット支援前立腺全摘除が保険適応となりました。その後急速に普及し、日本国内で行われている前立腺全摘除の7割以上がロボット支援手術になっています。

また、前立腺全摘除だけではなく、2016年には腎臓がんに対する腎部分切除が、2018年には膀胱がんに対する膀胱全摘除が保険適応となっています。さらに、2020年には女性骨盤臓器脱に対する仙骨膣固定術、腎盂形成術も保険適応となり、今後もその適応が拡大していくことが見込まれています。

当院では2021年2月より最新型第4世代手術支援ロボット「da Vinci Xi®」を導入し、前立腺癌に対するロボット支援根治的前立腺全摘除、腎部分切除を中心に施行しています。

ロボット支援手術は、患者さんのからだに小さな穴をあけて行う、体への負担が少ない手術です。術者は高精細な拡大3D画像を見ながら、人間の手よりも精密に動くアームを活かして手術を行うことで、以下のような利点があります。

ロボット支援下前立腺全摘術の利点

1 傷が小さく痛みが軽い

回復が早く、手術翌日から歩行・食事が可能。

2 出血量が少ない

開腹手術と比べ、輸血が必要となる確率が低い。

3 精細で、正確な手術ができる

癌の取り残し(断端陽性)が少ない。

前立腺全摘除術では尿道の括約筋損傷を抑えられるため、尿禁制(尿失禁などのこと)が良好で3か月~半年以内に尿取りパッド1枚以下になることが多いです。男性機能の保持においても、開腹手術より良好であると報告されています。

腎部分切除術では精密な腫瘍の切除や正確な縫合を短時間に行えるため術後の回復が早く合併症も軽減できると言われております。また腫瘍の部分だけを切除するため腎機能も保持できます。

ロボット支援手術の適応

ロボット支援手術は、患者さんにとってメリットの大きい手術ですが、前立腺全摘除の際には頭を25度下げた姿勢(頭低位)で手術を行うため、脳動脈瘤や緑内障の患者さんの一部はロボット支援手術を受けることができません。手術前に眼科を受診していただき確認します。

また、以前に腹部手術を受けたことがあると、ロボット支援手術を受けることができない場合があります。詳細は担当医師にご相談ください。