お知らせ
- ピコレーザーの導入により青あざ(異所性蒙古斑、太田母斑、外傷性タトゥー)、シミらのレーザー治療を始めています。詳細は下記をご参照ください。
【レーザー外来】【青あざ、しみ】
- 当科で主に診療を行っている疾患は【疾患一覧】を参考にしてください。
※なお閉塞性動脈硬化症、糖尿病による足趾潰瘍・下腿潰瘍らの抹消動脈疾患は当科では治療を行っておりません。(他の病院を紹介して頂いてください。)
- ボトックス注射による額、目尻、眉間の「しわ治療」や男性型脱毛症(AGA)の治療を行なっています。担当医にご相談ください。
- 帯状疱疹の予防ワクチンは18歳から接種できます。(顔面に生じた際には髄膜炎を来たすことがあります。)
- アトピー性皮膚炎に生じた難治性痒疹は、光線療法と分子標的薬の併用を行っています。
- 近隣の先生方からのご紹介の患者様の予約は月曜日、水曜日、金曜日は比較的取りやすい状況となっています。また急性期の患者様は率先して予約を入れさせていただきます。
- 常勤皮膚科専門医を募集しております。詳細はさいたま赤十字病院【採用情報】をご覧ください。
- 令和8年度皮膚科専攻医(後期研修医)の募集をいたします。皮膚科の研修を4年行い、日本専門医機構認定 皮膚科専門医受験資格が得られます。
詳しくは下記にご連絡ください。
【さいたま赤十字病院 皮膚科医師採用情報】
- 【さいたま赤十字病院 皮膚科専攻医研修プログラム】
診療科の紹介
- 当院はさいたま市では638床の最新医療設備をそなえた中核病院です。 当科では視診・病理組織学的検査、血液検査、画像検査などを指標に総合的に的確な診断をつけ、他科と連携して治療を行っています。
- 日本皮膚科学会分子標的薬使用承認施設として、難治性の乾癬やアトピー性皮膚炎の診療は生物学的製剤の導入を行っております。 維持療法に関しては、今後近隣のクリニックと連携しながら行っていく予定です。
- 当科は午前に一般外来(初診、再診)、午後は専門外来(いぼ外来、乳児血管腫外来、手術、レーザー外来)の診療となります。 学会らで休診日がありますので、外来担当医表を参考にしてください。
- 「いぼ専門外来、乳児血管腫専門外来」を設けており、いぼ・乳児血管腫の診断、治療には力を注いでおります。 また当科ではレーザー治療も積極的に行っていきます。シミ、しわ、あざ、ほくろなどの治療の相談または要望にお応え致しております。
- なお当科はさいたま市をはじめとした地域の医療機関、交流のある関連病院との診療連携を強化し、患者紹介及び逆紹介の推進を図っていきます。
- 症状の落着いた患者さんは、なるべくご紹介いただいた、かかりつけ医療機関にて治療を継続していただくよう、逆紹介をすすめておりますのでご協力のほどお願いいたします。
- 受診されるのが初めての患者さんは紹介状をご持参し、診療予約をされてご相談ください。
レーザー外来
当科では
炭酸ガスレーザー、
可変式ロングパルス色素レーザー(Vbeam II)、
ピコレーザー(532nm/730nm/1064nmの3波長を使用)、電気メスらの機器を外来処置室に備えており、疣贅(ゆうぜい)、軟性線維腫(首いぼ)、乳児血管腫、異所性蒙古斑、太田母斑、外傷性タトゥーらの全ての色素に対応し、レーザー専門医が治療を積極的に行っています。
炭酸ガスレーザー、可変式ロングパルス色素レーザー (Vbeam II)、ピコレーザーは全て承認機です。 従ってほぼ保険診療となります。埼玉県内の中核病院ではまだ導入されていないピコレーザーを、当科では令和5年4月から使用しています。
「ピコ」とはレーザー照射時間の単位を示します。すなわち1ピコは1兆分の1秒の単位となります。照射時間が非常に短いことから熱の発生を抑制でき、組織ダメージをより少なくし、ダウンタイム(施術を受けてから、普段通りの生活に戻るまでの期間)を短縮できるようになりました。乳幼児や学童の異所性蒙古斑、太田母斑、後天性真皮メラノサイトーシス、しみ(老人性色素斑)、雀卵斑(そばかす)、外傷性タトゥーの治療を行います。
しみ以外はいずれも保険診療となります。乳児血管腫は【
乳児血管腫専門外来】を参考にしてください。
乳児血管腫専門外来
乳児血管腫(いちご状血管腫)とは?
乳児血管腫は乳児の数%に見られ、乳児期に最も発生頻度の高い良性腫瘍です。ほとんどの症例は生後1〜3ヶ月に急速に増大することがありますが、約1歳〜1.5歳を過ぎますと自然に消えていきます。
乳児血管腫は 1)表在型 2)深在型 3)混合型 に大別されます。乳児血管腫の病変の大きさや解剖学的部位によっては問題となる症例が存在します。
病変の大きさや発症部位によっては
重大な後遺症を残す乳児血管腫も少なからず存在します。
無治療によるリスクを伴う乳児血管腫の発症部位
1.顔面
眼周囲 | 視力への影響(眼瞼下垂、斜視、不動視、弱視) |
鼻、耳 | 醜形または顔面における永続的な変形のリスク |
口唇 | 授乳困難、摂食困難 |
下顎部、口腔、咽頭粘膜 | 気道閉塞を引き起こすリスク
|
2.前腕
隆起、
萎縮、瘢痕化など
潰瘍化のリスクがあり、潰瘍化すると出血や二次感染を引き起こすことがある。潰瘍化を放っておくとほぼ瘢痕になる。
3.肛門周囲または会陰部
前腕と同様に
潰瘍形成のリスクあり。
4.頭皮に生じた大きな血管腫
5.多発性に発症(解剖学的部位を問わない)
5つ以上ある乳児血管腫は
内臓の肝血管腫に関連する可能性あり。
(
米国小児科学会「乳児血管腫の管理のための診療ガイドライン」2019より引用改変)
乳児血管腫の治療
我が国では乳児血管腫の治療はほぼ色素レーザーによる治療のみでありましたが、近年プロプラノロールの内服が承認され、レーザー治療やプロプラノール内服またはその併用治療が行われるようになりました。リスクの高い乳児血管腫においては、最良の転帰を得るための
適切な治療時期があります。
当院では、
プロプラノール内服療法は小児科との併診で1週間入院での治療を行なっています。その後皮膚科・小児科外来で定期的な診療と血管腫によっては可変式ロングパルス色素レーザーの照射を併用した
ハイブリッド療法を行っていきます。頭皮に生じた2cm以上の血管腫へは積極的に可変式ロングパルス色素レーザーの照射を行い、永久的な脱毛症を防いでいます。またレーザー治療は乳児血管腫が退縮した後、2〜7歳ごろに残った皮膚の変化(
毛細血管の拡張ら)にも有用です。
当院では保険治療を行なっています。毛細血管奇形(単純性血管腫)とは?
生下時からある赤い平坦な「あざ」です。生まれつきの毛細血管の異常なので、厳密には血管腫ではなく、奇形に分類されます。毛細血管は動脈と静脈の間にあり、皮膚に広がる細くて薄い管ですが、それらが異常に増えて集まった状態です。自然に消えることはなく、ゆっくり色が濃くなったり大きくなったりすることがあります。大人になると隆起することがあり、顔面では醜形をきたし目立ちます。(日本形成外科学会のHPより引用改変)
毛細血管奇形(単純性血管腫)の治療
乳児血管腫の治療と同様に最新の可変式ロングパルス色素レーザーを用いて治療を行なっていきます。
いずれも保険治療にて行なっています。いぼ専門外来
痛みがなく早くいぼを治したい患者さんへ
ウイルス性疣贅(ゆうぜい)とは
- いわゆる疣贅(ゆうぜい)はヒトからヒトへ感染する皮膚病で、ヒトパピローマウイルス(HPV) が原因で生じます。現在のところ、HPVは220種類以上にも異なるタイプがあるといわれています。
(ノーベル生理医学賞の選考委員会で有名なカロリンスカ研究所のHPに記載) - その分類はウイルス 遺伝子の粒子を作成するといわれる約1500塩基配列からなる L1領域の比較により、遺伝子の相同性 が 70%〜90%の場合には異なるHPVと判断されます。いぼには多くの種類があり、皮膚科専門医でさえ診断に苦慮することがあります。
- HPV の種類によって感染しやすい部位(皮膚や粘膜)があり、生じるいぼが全く違ってきま す。また子宮頸がんを引き起こす HPV16/18 型は皮膚がんにも認めらる場合があります。しかし多くの疣贅ではノンリスクの HPV の感染であるため、がん化することはありません。担当医は疣贅のHPV遺伝子同定検査により、新しいHPV 160 型を発見し、カロリンスカ研究所で認定されています。 (詳細はコチラ)
ウイルス性疣贅の種類
1.尋常性疣贅 (じんじょうせいゆうぜい)
子供や大人の手足にみられるいぼ。豌豆(エンドウマメ)大までの結節で、表面ががさがさしています。HPV は手荒れや爪の周囲のささくれから侵入しやすいため、手指はいぼができやすい部位です。足の裏のいぼは体重がかかるため、隆起してきません。小さいいぼは表面がつるつるして光ってみえることがあります。HPV2, 27, 57 型の感染で生じます。
2.扁平疣贅 (へんぺいゆうぜい)
顔、手の甲、下腿にみられる褐色調のいぼ。青年期の女性にみられやすいです。顔のひっかき傷からHPVが感染すると、線状にいぼ(ケブネル現象)がみられることがあります。小さな老人性 いぼとの鑑別は非常に困難なことがあります。HPV3, 10, 28, 29, 77, 78, 94, 117, 125, 160型の感染で生じます。
3.尖圭コンジローマ (性器疣贅)
性行為や類似行為によって感染し、肛門周囲、外陰部、口腔内に生じるいぼ。イミキモド外用など 保険適用のある治療法を取り入れています。HPV6, 11 型の感染て生じます。
早期治癒についての詳細はコチラ4.その他の特殊ないぼ (疣)
- まれないぼとして指状・糸状疣贅、色素性疣贅や足の裏に生じるミルメシア、モザイク疣贅、ドーナツ疣贅、足底表皮様嚢腫、点状疣贅らも日常診療でみる機会がありますが、これらも同様にウイルス性疣贅です。
- 子どもにみられるみずいぼ(伝染性軟属腫 でんせんせいなんぞくしゅ)の原因は伝染性軟属腫ウイルスの感染によって生じます。みずいぼは夏のプールに入る時期やアトピー性皮膚炎の患者さんにみられることがあります。治療は麻酔のテープを貼り、痛くなくみずいぼを除去する方法(保険適応や、接触免疫療法を行っています。
ウイルス性疣贅と鑑別する皮膚病
- ウイルス感染でない‘いぼ’としては軟性線維腫(スキンタッグ、アクロコルドン)や老人性疣贅があり、加齢、紫外線、摩擦らによって顔、デコルテ、脇、腹部に生じます。
- その他、足の裏にできるウオノメやタコがあります。
- また顔にできやすい扁平疣贅は汗管腫、脂腺増殖症、ミリウムといった良性腫瘍や老人性疣贅との鑑別が難しく、誤診されることがあります。これらはウイルス感染症ではないのでヒトへ感染することはありません。
ウイルス性疣贅の検査方法
視診でほぼ診断がつきますが、ダーモスコピー(拡大鏡でみるような方法)で詳細に観察したりします。確定診断で病理組織検査(保険適用)や、必要の際はHPV遺伝子同定検査を行ったりすることがあります。病理組織検査は主に難治性のいぼや診断が難しいケースで行います。(ウイルス性疣贅に特徴ある細胞病原性効果の確認を致します)
いぼ(疣)の治療方法
- いぼ治療の第一選択は液体窒素凍結療法です。しかしこの治療法のみでは、いぼはなかなか治らず、病院での治療後、ジンジンと患部が痛み、苦しい思いをする患者さんも少なくありません。特に子供さんには非常に痛く、つらく感じ、病院嫌いになることもあります。
- 当科では、足の裏、爪部、著しい角質肥厚、標準的な治療に抵抗性で2年以上治らない難治性疣贅や多数の疣贅がある患者さんに対して
1)痛くない治療
1.接触免疫療法(DPCP外用);外用液を塗って治す方法 さいたま赤十字病院独自に作成
2.外用療法〔高濃度サリチル酸軟膏:さいたま赤十字病院独自に作成〕
3.その他の内服療法
2)早く治す方法
1.ブレオマイシン局所注入療法:最短2回の注射で1ヶ月半で治癒します。主に足の裏に施術を行います。
2.炭酸ガスレーザー
3.可変式ロングパルスダイレーザー治療
4.電気焼灼 - これらの治療を時には組みあわせ、良好な治療結果が得られています。これらの治療法は良質の治療法を評価した英語論文(Cochrane Database Syst Rev.;2012(9):CD001781), 英国皮膚科学会ガイドライン、日本皮膚科学会ガイドラインを参考にして行っています。
- 尖圭コンジローマの治療はべセルナクリームⓇという保険適用のある薬剤を使用します。しかし尖圭コンジローマのサイズが大きいと、べセルナクリームⓇ外用では十分な効果を認めないため、当科の治療は第一に尖圭コンジローマの病変に局所麻酔を行い、炭酸ガスレーザーで摘除します。残存した小さな病変や再発をきたした小さな病変に対してのみにべセルナクリームⓇ外用を行い、完全治癒を試みています。べセルナクリームⓇ外用のみでは6ヶ月以上は治療を要するケースが少なくないため、当科の治療では早期に完全治癒するために、患者さんの満足度が高いと言えます。
当科では包茎(仮性、嵌頓、真性)の尖圭コンジローマの患者さんの治療において、環状切開法も併せて保険治療で行っています。当科の医師は、長年にわたり包茎手術の経験が豊富で、安心して治療を受けていただけます。また、日帰り手術後に激しい痛みや出血が止まらないといったトラブルを避けるため、当科では短期間の入院が可能な充実した施設を備えています。手術後の経過をしっかりと見守ることができるため、安心して治療を受けていただけます。
HPV感染症である尖圭コンジローマにお悩みの方は、ぜひご相談ください。 - インターフェロン局所注入、グルタルアルデヒド外用(毒性のある消毒液;ヒトへの外用は禁止)や木酢液外用、お灸といった民間療法など欧米においてエビデンスのない治療法は当科では一切取り入れておりません。いぼの治療にはプラセボ効果といい、どの治療を行っても 30%程度の効果がありえます。
- 治療前にいぼの原因である HPVとはどういうウイルスであるかや治療法について詳しく説明したあとに、多数の治療法の中からより良い治療法を選択致します。また紫外線、加齢からくる顔やデコルテの老人性いぼや摩擦、紫外線による軟性線維腫(首いぼ、脇いぼ、腹いぼ)については1回の治療で終えるレーザー治療も行っています。いぼの正しい診断と治療が早期治癒と再発の ない結果につながります。
早くいぼを治したい、痛くない治療を希望の患者さんは是非当科を受診してください。
いぼ外来を受診するには
初診の患者さんは原則として紹介状を必要とします。さいたま赤十字病院の予約センター(048-852-1180)にお問い合わせください。
担当医師
三石 剛 さいたま赤十字病院 皮膚科部長
日本皮膚科学会 尋常性疣贅診療ガイドライン策定委員会委員
尋常性疣贅診療ガイドライン 2019(第 1 版)メディア情報
テレビ出演
朝イチ(NHKテレビ) | 2021年5月31日 Live放送 「専門家に聞く! 首のイボ・ひざの黒ずみ・かかとのガサガサ対処法」 |
チョイス@病気になったとき(NHKテレビ) | 2020年8月15日放送 「気になるイボ徹底対策」 |
きょうの健康(NHKテレビ) | 2020年5月19日(再放送 5月26日) 「まずは原因究明! イボ対処法」 |
ためしてガッテン(NHKテレビ) | 2014年7月30日放送 「偽ニキビの正体・美肌の大敵!」 |
参考文献
- ウイルス性疣贅 『ウイルス性疣贅〜治療最前線 2024〜』(下):漢方研究641; 4-12, 2025
- ウイルス性疣贅 『ウイルス性疣贅〜治療最前線 2024〜』(上):漢方研究640; 10-23, 2025
- 小児のいぼ治療: 日本小児皮膚科学会雑誌44; 45-50, 2025
- 学校での皮膚感染症である伝染性軟属腫について:埼玉県医師会学校医会ニュース22;31-32,2024
- 今日から始める漢方治療 尋常性疣贅 Visual dermatology23(2):157-158, 2024(秀潤社)
- そこが知りたい、皮膚科医の習慣!イミキモド外用のルーチン Visual dermatology 22 臨時増刊号 108-109, 2023(秀潤社)
- 私の治療 - ウイルス性疣贅 - : 日本医事新報5190; 43-44, 2023
- 尋常性疣贅の治療の工夫 皮膚科 3(3) 289-295, 2023
- 【ウイルスと皮膚疾患-新しい考え方】(Part2.)治療とワクチン 日常診療での工夫とアップデート 治りにくい尖圭コンジローマに対する治療 エキスパートの工夫 Visual Dermatology21 (10) 991-994 ,2022
- 疣贅診療の最前線 診断から新規治療まで(下)漢方研究606: 4-11, 2022
- 疣贅診療の最前線 診断から新規治療まで(上)漢方研究605 : 2-13 ,2022
- 本邦で作成された尋常性疣贅診療ガイドライン2019年版を読み解く(下)漢方研究593 :16-21, 2021
- 本邦で作成された尋常性疣贅診療ガイドライン2019版を読み解く(上):漢方研究 591:7-11, 2021
- 皮膚科領域のHPV感染症- 過去・現在・未来-(下):漢方研究 581:2-6, 2020
- 皮膚科領域のHPV感染症- 過去・現在・未来-(中):漢方研究 580:2-6, 2020
- 皮膚科領域のHPV感染症- 過去・現在・未来-(上):漢方研究 579:2-6, 2020
- Bowen様丘疹症:日本医事新報 4698: 51-52, 2019
- 尋常性疣贅診療ガイドライン2019 (第1版)日本皮膚科学会 尋常性疣贅診療ガイドライン策定委員会 日本皮膚科学会 雑誌 129 (6) 1265-1292, 2019
- ウイルス性疣贅 本邦の診療ガイドラインの概説(III)(解説):漢方研究563; 2-12, 2018
- ウイルス性疣贅 本邦の診療ガイドラインの概説(II)(解説):漢方研究562; 11-17, 2018
- ウイルス性疣贅 本邦の診療ガイドラインの概説(I)(解説):漢方研究561; 323-327, 2018
- ウイルス性疣贅の診断と治療(下)(解説):漢方研究 555; 27-33, 2018
- ウイルス性疣贅の診断と治療(中)(解説):漢方研究 554; 2-10, 2018
- ウイルス性疣贅の診断と治療(上)(解説):漢方研究 553; 15-18, 2018
- 【疾患別・知っておきたい 皮膚科の検査とその評価法】 ウイルス性疣贅(解説/特集)皮膚臨床59(6) 1005-1012, 2017
- 新皮膚科セミナリウム ウイルス性疣贅 update 扁平疣贅の臨床病理組織像と HPV 遺伝子 日本皮膚 科学会 雑誌 127 (3) 435-440, 2017
- 【一般外科医として知っておきたい小手術と処置】疣贅・鶏眼の外科的治療 手術 70(9)1179-1186,2016
- 【皮膚科で診るSTI(1) HSV、HPV、HIV感染症】HPVワクチンによる尖圭コンジローマの予防 J Visual Dermatol 15(8) 844-846, 2016
- 【皮膚科で診るSTI(1) HSV、HPV、HIV感染症】レーザーによる疣贅治療 J Visual Dermatol 15(8)810-813,2016
- 【子どもの皮膚を診る】伝染性軟属腫、尋常性疣贅 小児内科 48 (4) 552-8, 2016
- 【皮膚と微生物】疣贅状表皮発育異常症 Progress in medicine 35 (12) 77-81, 2015
- 【内科医のための皮診の診かたのロジック】 内科医が診る皮膚疾患 診断・治療とコンサルテーション 尋常性疣贅(いぼ)、伝染性軟属腫(水いぼ) Medicina 51(5) 914-17, 2014
- HPV感染症に対するイミキモド外用薬の効果とメカニズム 日本皮膚科学会 雑誌123 (13) 2655-8, 2013
- ウイルス感染症 知っておくべき治療法 イミキモドの基礎と臨床(解説)日本皮膚科学会 雑誌121(13) 3007-12, 2011
- 【治療にてこずる皮膚疾患】 足底疣贅 炭酸ガスレーザーと人工真皮貼付による治療(解説/特集) 皮膚臨床52 (11) 1566-8, 2010
- 皮膚科セミナリウム(第59回)皮膚のウイルス感染症 非定型的ウイルス性疣贅の臨床病理組織像 (解説日本皮膚科学会 雑誌120 (5) 1009-14, 2010
- 【日常診療に役立つ皮膚科最新情報 患者さんへの説明を含めて】ウイルス性疣贅 (解説/特集)皮膚臨床51(11) 1607-12, 2009
- ヒトパピローマウイルス感染症 (総説)日本医科大学医学会 雑誌(1349-8975) 3 (4) 170-8, 2007
- ウイルス感染症の治療 ウイルス性疣贅の治療 現状と将来の展望 (解説日本皮膚科学会 雑誌116 (13) 2110-4, 2006
実際の症例
電気外科療法による多発性疣贅の治療
難治性足底疣贅の治療経過
手指・足趾のいぼの治療前後
足底の巨大疣贅の治療
扁平疣贅の治療前後
扁平いぼと誤認されやすい皮膚病
(脂漏性角化症(老人性いぼ))
小児の多発性疣贅
7歳、男児。初診の3年前から病悩 6ヶ月で治癒
炭酸ガスレーザーによる足底疣贅の治療
炭酸ガスレーザー照射の実際
尋常性疣贅の治療
治療前
炭酸ガスレーザー治療直後 閉鎖療法を励行
治療後
ロングパルスダイレーザー 9 回照射後治癒
ダーモスコピーによる 診断で治癒を確認
足底疣贅へのヨクイニンエキス内服治療
乾癬・掌蹠膿疱症
乾癬(かんせん)とは
- 青年から中年に見られる皮膚病で、厚く銀白色のガサガサした鱗屑(りんせつ)を伴った紅斑(こうはん)らの発疹が頭や肘、膝のほか全身のどこにでも出現する皮膚疾患で、爪には肥厚や変形を生じます。関節とその周囲にも炎症を伴うことがあり、約15%の乾癬患者で関節炎を合併し、乾癬性関節炎と呼ばれます。
- 皮疹は多彩な症状をきたしているため、病理検査を施行して的確な診断を行なっています。 乾癬患者の病態・治療を十分に理解しているのは皮膚科専門医です。
関節症性乾癬(乾癬性関節炎)
爪や頭部に皮疹があると、本症を合併しやすく皮膚症状に加え、関節炎があり、関節の痛み、腫れ、関節の変形を伴います。運動時より、安静時に関節痛が増強することが多いです。生物学的製剤の使用、疼痛管理は十分に行います。1日1回の内服で済むJAK阻害剤の使用が当科では可能です。
乾癬性紅皮症
乾癬の紅斑が全身に広がり、赤くなった状態をいいます。膿疱性乾癬に移行することがあります。
膿疱性乾癬
発熱とともに全身の皮膚が赤くなり、無菌性膿疱(うみ)が多発してきます。
全身型と限局型に分類されます。
滴状乾癬
小さな紅斑が全身に多発します。
乾癬の治療
- 治療は日本皮膚科学会のガイドラインに準じて行なっており、患者さんは安心して受診できます。また外用療法、光線療法(ナローバンドUVB)、複数の生物学的製剤から選択使用し、患者さんに合わせたオーダーメード治療を行うことから、患者満足度を上げております。
- また最近では乾癬患者にはJAK阻害剤といって1日1回の内服剤で副作用のリスクが非常に少ない薬剤も使用可能となり、治療の組み合わせ、安全性、副作用についての専門的な知識が必要な分野であるため、皮疹の変化らを皮膚科専門医と共有することが、適切な治療の選択につながります。
※4月より常勤皮膚科専門医の増員により、乾癬外来を行います。随時、ホームページを参考にしてください。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは
- 中年女性に見られることが多く、手のひら、足のうらに小さな膿疱(うみ)が多発し、紅斑と鱗屑(ガサガサ)を生じるものです。 無菌性膿疱のため、ヒトに感染することはありませんが、人目に触れる手足の皮疹は患者さんにとって大きなストレスになります。
- 約10-30%の方に骨・関節の痛みと腫れを伴い、日常生活に支障をきたします。 金属アレルギーの関与は数%程度のごく限られた方のみです。金属パッチテストは、必要とされる方にのみ実施しています。
- 手足の乾癬など、症状が類似する他の病気もあるため、病理検査などまず正しく診断することが重要です。
掌蹠膿疱症の治療
- 掌蹠膿疱症は、歯の根尖病巣や扁桃の潜在的な炎症が皮膚症状や関節症状を引き起こしていることが多いです。 病巣感染治療の有効率は高く、膿疱の出現が止まり、軽快していきます。
- 皮疹に対しては、外用療法(活性型ビタミンD3軟膏,ステロイド軟膏、ビオチン内服、光線治療、内服治療などを行います。
青あざ、しみ
下記の青あざ・シミの治療を行います。
異所性蒙古斑
新生児の臀部や下背部に青色斑が100%に見られ、4ー10歳までには自然に消退します。しかし手足に生じた蒙古斑はなかなか消退しなく、成人まで残すこともあります。ピコ秒レーザーは手足の蒙古斑に有効で、乳児血管腫と同様、保険診療が可能です。
乳児の皮膚、特に真皮は成人より厚さが薄いため、色の原因となる真皮メラノサイトーシスをレーザーで消去するのに回数が少なくて済みます。従って早い時期から異所性蒙古斑の治療を行った方が良いでしょう。また従来のナノ秒レーザーと違い、組織のダメージが少なくて済みます。
成人の背中の青色母斑 Laser照射前
成乳児の手背の異所性蒙古斑 Leser照射1回後やや色調が薄くなる
太田母斑
右頬部のみに生じた太田母斑 Laser照射前
顔面に生じた青あざであり、ピコ秒レーザーは有効です。保険診療となります。
外傷性タトゥー
交通事故や転倒などの外傷により顔などに砂などの異物が混入したり、鉛筆の芯などが刺さった場合、異物は真皮内に埋め込まれて残ってしまい、‘タトゥー’を来してしまいます。ピコ秒レーザーは従来のQスイッチ系レーザーよりは‘タトゥー’に対してはより効果が高いと言われています。保険診療となります。
老人性色素斑 (日光性色素斑)
主に顔面に生じる茶色のシミです。ピコ秒レーザーは波長を1064nm, 730nm, 532nmと選択でき, 超短パルスレーザーのため、薄いシミには効果が期待できると言われています。自費診療となります。
帯状疱疹
帯状疱疹とは
- 顔面、四肢、躯幹の神経支配領域に一致した部位に、帯状に紅斑、水疱を形成し、痛みを伴う皮疹を言います。
- 小児期に水痘(水ぼうそう)として初感染した水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が神経節に潜伏し、免疫機能の低下などによりVZVは再活性化し発症します。
- 顔面の三叉神経第1枝領域の帯状疱疹で鼻部に皮疹があると眼科的な症状(眼球運動障害らにも至る)を合併することがあります。これをハッチンソン徴候と言われています。
- 耳介部の帯状疱疹は耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺をきたすことがあり、ハント症候群と言われています。ステロイド剤の早期投与が必要となります。
- 皮疹が出現してから3ヶ月以上痛みが続くと帯状疱疹後神経痛と言われ、痛みの治療に難渋することがあります。
- 高齢者や顔面の帯状疱疹は原則入院の上、治療することが望ましいです。
帯状疱疹の治療
- 早い時期に抗ウイルス剤の内服や点滴(重症は入院、点滴が原則)。
- 痛みのコントロール。
- 帯状疱疹後神経痛で症状が強い場合には理学療法、神経ブロックなどのペインクリニックの対象となります。
- 帯状疱疹について詳しい診療科は皮膚科です。発熱、激しい頭痛、嘔吐らがある場合には髄膜脳炎が考えられます。その際には脳神経内科と協力して入院の上、診療を行っています。
帯状疱疹の予防
- 通常、50歳以上の方には帯状疱疹の予防ワクチンを接種することができます。80歳までに約1/3の人に帯状疱疹が発症していると言われています。現在「ビケン」と「シングリックス」の2つのワクチンがありますが、「シングリックス」は2023年6月から帯状疱疹の発症リスクが高いと考えられる18歳以上の方(何らかの基礎疾患のある方)に接種できるようになりました。 また65歳以上の高齢者には定期接種(公費負担)が受けられるようになります。他の年齢層の方は自費になりますので医療機関に問い合わせをされたほうが良いでしょう。なお帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹の発症率を下げ、重症化(特に髄膜脳炎らの発症)を防ぎ、帯状疱疹後神経痛を予防する効果が期待できます。
- 当科では発症リスクの高い方には帯状疱疹予防ワクチンを使用し、2回接種(2ヶ月後に2回目接種)をおこなっています。ご不明な点は担当医にご相談ください。
疾患一覧
疾患分類 |
対象疾患 |
湿疹・皮膚炎 |
アトピー性皮膚炎(分子標的薬使用承認施設)、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹など |
蕁麻疹・痒疹 |
特発性蕁麻疹、食物依存性運動誘発アナフィラクシー、血管性浮腫など |
紅斑症 |
多形滲出性紅斑、結節性紅斑、ベーチェット病、Sweet病 |
紫斑病・血管炎 |
IgA血管炎、慢性色素性紫斑など |
中毒疹・薬疹 |
重症薬疹を含む |
水疱症・膿疱症 |
尋常性天疱瘡、好酸球性膿疱性毛包炎、掌蹠膿疱症 |
炎症性角化症・角化症 |
乾癬(分子標的薬使用承認施設)、類乾癬、扁平苔癬、ジベル薔薇色粃糠疹、掌蹠角化症、黒色表皮腫、汗孔角化症、毛孔性苔癬 |
膠原病および類症 |
全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、全身性強皮症、限局性強皮症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、MCTD、成人Still病などの主に診断 |
代謝性異常症 |
アミロイドーシス、汎発性粘液水腫、黄色腫など |
肉芽腫症 |
環状肉芽腫、サルコイドーシス、若年性黄色肉芽腫、毛細血管拡張性肉芽腫 |
色素異常症 |
肝斑、白皮症など |
母斑・母斑症 |
表皮母斑・脂腺母斑、母斑細胞母斑(ホクロ)、扁平母斑、太田母斑、結節性硬化症、神経線維腫症、色素失調症 |
皮膚良性腫瘍 |
血管腫(乳児血管腫)・毛細血管奇形、軟性線維腫(首いぼなど)、老人性疣贅、粉瘤、汗管腫、皮膚線維腫、ケロイド、肥厚性瘢痕、脂肪腫、石灰化上皮腫など |
皮膚悪性腫瘍 |
基底細胞がん、日光角化症、Bowen病、有棘細胞がん、ケラトアカントーマなど |
毛包脂腺・毛髪・爪疾患 |
汗疱、臭汗症、多汗症、尋常性ざ瘡、集簇性ざ瘡、新生児ざ瘡、脂腺増殖症、円形脱毛症、爪甲剥離症、爪囲炎、陥入爪 |
ウイルス性疾患 |
単純ヘルペス、水痘、帯状疱疹、風疹、麻疹、手足口病、伝染性紅斑、伝染性軟属腫(みずいぼ)、ウイルス性疣贅(尋常性疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマ)など |
細菌性疾患 |
化膿性汗腺炎、毛嚢炎、せつ、よう、伝染性膿痂疹、丹毒など |
真菌症 |
足・爪白癬、カンジダ症、癜風など |
性感染症 |
梅毒、尖圭コンジローマなど |
動物・原虫 |
虫刺症、恙虫病、マダニ刺症、疥癬など |
スタッフ紹介
専門領域
所属学会 ・資格取得状況
日本専門医機構認定 皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 東京支部代議員
- 日本皮膚外科学会 理事
- 日本レーザー医学会 レーザー専門医 / 指導医
- 日本レーザー医学会 理事
- 日本レーザー治療学会 理事
- 日本性感染症学会 認定医
- 国際パピローマウイルス学会会員
- 日本小児皮膚科学会 運営委員
- 英語論文業績
所属学会 ・資格取得状況
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
- 緩和ケア研修会修了
外来診療スケジュール
外来診療担当表
診療実績
レーザー外来
2025年1月~ 乳児血管腫(いちご状血管腫)、毛細血管奇形(単純性血管腫)に対するVbeamⅡレーザー治療の件数
2025年1月~ 異所性蒙古斑、太田母斑らの青あざ、シミに対するピコレーザー治療の件数
2024年1月~12月 乳児血管腫(いちご状血管腫)、毛細血管奇形(単純性血管腫)に対するVbeamⅡレーザー治療の件数
2024年1月~12月 異所性蒙古斑、太田母斑らの青あざ、シミに対するピコレーザー治療の件数
2023年1月~12月 乳児血管腫(いちご状血管腫)、毛細血管奇形(単純性血管腫)に対するVbeamⅡレーザー治療の件数
2023年1月~12月 異所性蒙古斑、太田母斑らの青あざ、シミに対するピコレーザー治療の件数
2022年1月~12月 乳児血管腫(いちご状血管腫)、毛細血管奇形(単純性血管腫)に対するVbeamⅡレーザー治療の件数