皮膚科 帯状疱疹 たいじょうほうしん
帯状疱疹とは
- 顔面、四肢、躯幹の神経支配領域に一致した部位に、帯状に紅斑、水疱を形成し、痛みを伴う皮疹を言います。
- 小児期に水痘(水ぼうそう)として初感染した水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が神経節に潜伏し、免疫機能の低下などによりVZVは再活性化し発症します。
- 顔面の三叉神経第1枝領域の帯状疱疹で鼻部に皮疹があると眼科的な症状(眼球運動障害らにも至る)を合併することがあります。これをハッチンソン徴候と言われています。
- 耳介部の帯状疱疹は耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺をきたすことがあり、ハント症候群と言われています。ステロイド剤の早期投与が必要となります。
- 皮疹が出現してから3ヶ月以上痛みが続くと帯状疱疹後神経痛と言われ、痛みの治療に難渋することがあります。
- 高齢者や顔面の帯状疱疹は原則入院の上、治療することが望ましいです。
帯状疱疹の治療
- 早い時期に抗ウイルス剤の内服や点滴(重症は入院、点滴が原則)。
- 痛みのコントロール。
- 帯状疱疹後神経痛で症状が強い場合には理学療法、神経ブロックなどのペインクリニックの対象となります。
- 帯状疱疹について詳しい診療科は皮膚科です。発熱、激しい頭痛、嘔吐らがある場合には髄膜脳炎が考えられます。その際には脳神経内科と協力して入院の上、診療を行っています。
帯状疱疹の予防
- 通常、50歳以上の方には帯状疱疹の予防ワクチンを接種することができます。80歳までに約1/3の人に帯状疱疹が発症していると言われています。現在「ビケン」と「シングリックス」の2つのワクチンがありますが、「シングリックス」は2023年6月から帯状疱疹の発症リスクが高いと考えられる18歳以上の方(何らかの基礎疾患のある方)に接種できるようになりました。 また65歳以上の高齢者には定期接種(公費負担)が受けられるようになります。他の年齢層の方は自費になりますので医療機関に問い合わせをされたほうが良いでしょう。なお帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹の発症率を下げ、重症化(特に髄膜脳炎らの発症)を防ぎ、帯状疱疹後神経痛を予防する効果が期待できます。
- 当科では発症リスクの高い方には帯状疱疹予防ワクチンを使用し、2回接種(2ヶ月後に2回目接種)をおこなっています。ご不明な点は担当医にご相談ください。